2009-10-04

WIT' YO BADD SELF !


ジェイムズ・ブラウンの "Say It Loud – I'm Black And I'm Proud" という曲、初めて聴いたときは、実はそれほど凄いとは思わなかった。威勢のいい歌詞とは裏腹に、どこかのんびりとして盛り上がりきらない。この曲の録音された1968年(絶頂期だ)のJBにしては、やや緊張感に欠けるんじゃないか。メッセージソングとしても、同じような内容のことを(少し後になるが)スライ・ストーンの方がよっぽどうまくやってのけている、とも。
JB自身は自伝の中で
「この歌は今じゃ時代遅れだ。実際には、俺が吹き込んだ時もすでに時代遅れだった。だが、必要だったんだ」
「この歌のおかげで、俺は他人種のファンを多く失った」
と語っている。しかし、それを読んだときも、言い訳がましいなあとしか思わなかった。

認識が変わったのは、この曲がヒットしていた当時に録音されたダラスでのライヴ盤を聴いたときだった。この曲のタイトルをJBが静かな口調で告げると、客席の反応が歓声ではなく、どよめき。そして演奏はスタジオ録音とは違い、すさまじいテンションだ。観客も大盛り上がりで「I'm black and I'm proud」のフレーズを叫ぶ。なるほど、当時 "Say It Loud ~" という曲が凄く支持されていたということは判ったし、白人なら絶対このライヴの場にはいたくないな、とも思いましたよ。

さて、ワックスポエティクス日本版の最新号にはギャンブル&ハフのインタビューが掲載されている。彼らのキャリアがどうやって始まったか、一緒に仕事をしていたミュージシャン達についてなど非常に興味深いのだけど、個人的にガツンっ、ときたのはケニー・ギャンブルの以下のコメント。
「ひとつだけ言っておこう。ブラック・ピープルの歴史において最も重要な出来事は、ジェイムズ・ブラウンの『Say It Loud, I'm Black and I'm Proud』だ」
「あの曲はブラック・ピープルを開放する助けとなった。ブラック・アメリカにとっては決定的瞬間だったよ。学校で誰かにブラックと呼ばれたら、喧嘩していた時代を俺は覚えている。その頃は、皆がブラックであることを誇りに思っていなかったのさ。しかし、世界が変わったんだ」
ううん参ったね、判ったつもりになっていたけど、それ以上にずっと意味のある曲だったのかも。

0 件のコメント:

コメントを投稿