2022-04-23

Orchester Pete Jacques / Round Trip To Rio


オーケスタ・ピート・ジャック、ドイツ産のイージーリスニングです。凄くいい。

さて、どこから手をつけようか。
Sonoramaというのはドイツのニッチなリイシュー会社であります。ここで取り上げたことのあるものでいうと、G/9グループの「Brazil Now!」とか、ダニエラ・ウント・アンの「Black &White」なんかがSonoramaが発掘した盤です。他にも持っていた気はするけれど、ドイツ語の名前は思い出せない。
で、今回の「Round Trip To Rio」もSonoramaからリイシューされたもので聴いているわけで、元々は1970年の作品。

スイス出身の作・編曲家であるピート・ジャックさん。彼が率いる楽団によるボサノヴァ、スキャット入りで、まあ、洗練がすごい。いかにもドイツものらしく音の感触はクールですが、演奏はあくまで軽やか、取っつきがいい。
ポイントは、使われている楽器の数自体は少なくないのだけれど、なんとなく間を埋めているような音が鳴っていない、ということだと思います。結果、サウンド全体の見通しがよくなり、テンポが速めの曲でも圧迫感なく、余裕を感じさせるものになっています。
また、ギターや鍵盤のフレーズからはジャズらしさも垣間見え、それがイージーリスニングなれど要所を引き締める役割も果たしているかと。

取り上げている曲はピート・ジャックのオリジナルを含めてほとんどがドイツ圏のライターの手によるものなので、有名曲なのかどうなのかの判断はつきません。唯一、見たことのある名前がクリス・アンドルーズ。サンディ・ショウのスタッフですな。アンドルーズが自身でシングルを出した “Pretty Belinda” は英本国ではだめだったがドイツではヒットしたそうです。実のところ、この “Pretty Belinda” のカバーはアルバム中でひとつ落ちるのですが、それ以外の曲は捨てるものがない出来。マイナー・キーの曲になるとうっすら、昭和歌謡に共通するようなメランコリックな雰囲気が漂うのもまた個性であるよね。