2021-10-24

Kenny Cox / Clap Clap! The Joyful Noise


鍵盤奏者ケニー・コックスが1970年代半ばに制作しながら、お蔵入りになっていたものが、2012年になって発掘されたというアルバム。

デトロイト録音なのですが、関わっているミュージシャンが知らないひとばかりで、ちょっと手掛かりがない。クレジットを見ていて唯一、覚えのある名前がデザイン担当となっているジョン・シンクレア。ジョン・レノンが歌にしていたひとと同一人物かしら。
それはともかく、実際の音楽はエレピが大活躍するメロウなラテン・ジャズ。ラテンといってもあまり派手なところはなく、落ち着いて聴けるものになっています。


一曲目がタイトル曲なのですが、スロウかつドラムレスのためかとてもゆるゆる、力の抜けた女性コーラスも相まってソロパート以外のところはムード音楽寸前、でもしっかりラテン・パーカッションは仕事をしています。
続く “Samba de Romance” ではストリングス風のメロトロンが入って、アコースティック・ギターも感傷的な雰囲気を掻き立てます。さながら歌のない歌謡曲。しかし、エレピは冴えわたっていますし、フルートやギターとの絡みもよいです。
“Island Song” はリズミックで陽気なラテン・ジャズでほっとします。やっぱりグルーヴも欲しいよね。エレピはもちろん、ここではバッキングでクラヴィネットも主張。キメのフレーズもあって、全体的な感触としてはフュージョンっぽさも強く感じます。

“Lost My Love” はアルバム中最も都会的でメロウな曲、というかリイシュー盤のスリーヴ・ノートで “Feel Like Makin’ Love” じゃん、と指摘が入っています。そんな感じなのだが、まあ、恰好いい。しっかりとしたドラム入りで、ラテン色は皆無。ニューソウル風の緊張感がうっすら漂っていて、それも心地良いです。
最後になる “Beyond The Dream” は導入こそ唄ものスロウっぽいが、本編は長尺のラテン・ジャム。


アンサンブルのバランスからすれば必要以上にエレピが目立っているようにも感じますが、まあ、ピアニストのリーダー作なのでこれでいいのでしょう。

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