2025-12-28
佐野元春 / Visitors
今年のクリスマスあたりはこれを。聴いている間、なんだか背筋が伸びていたような気がする。
1984年発表、制作は前年より滞在していたニューヨーク。
改めて聴くと意外なくらいポップなアルバム。ただ、振り返ってそう言えるのであって、当時には先鋭的であったスタイルを取り込もうとしていたはず。時代の音に切り込んでいこうという意思がみなぎっているように思える。その分、却って陳腐化している面もあるわけだが。何週もしてしまった今では、その古さも悪くない。
全体の基調はやはりシリアス。この人が得意とする「いつか きっと」も控えられ、ユーモラスな表現もシリアスな文脈に乗っているように感じる。サウンドの重心が軽いので、それでバランスは取られているわけだが。
抽象度が一段と増し、一見、イメージの羅列めいた部分さえあるものの、歌詞ではなく詩をそのまま持ち込んだようなそれらには、表現者としてのコアが剥き出しになったような妙な迫力がある。
あと、いくつかの曲に漂うロマンチシズムはむしろヨーロッパ的に感じる。切迫感を湛えたボーカルはときにデヴィッド・ボウイみたいであるし、"Shame" という曲はジョン・レノンそっくりだ。
シングル・カットもされた "New Age" は単体では随分と悲観的に響くのだけれど、アルバムの最後の曲としては開放感を伴って聴ける不思議。
たぶん(おっさんには)思っているひとが多いだろうけれど 「昔のピンナップはみんな 壁からはがして捨ててしまった」 というフレーズはアズテック・カメラの "Walk Out To Winter" ( "Faces of Strummer that fell from your wall" )を連想させるよね。
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