ケニー・ランキン、1967年のファーストアルバム。シングル盤でのデビューはこれより10年前に果たしており、それからもポツポツとシングルをリリースしながら裏方などで活動してきて、満を持してのアルバムとなるわけだが、ベテランっぽい擦れた感じが全くない瑞々しさは格別であります。
代表曲 "Peaceful" が、やはり素晴らしい。
サウンド的にはギターによる弾き語りに、バックが付いているという感じのものが多く、曲によってはフォークロック的な意匠がやや時代を感じさせもする。個人的にはまったくOKでありますが。
この作品には、オリジナル曲とカバーが半々で収められている。ランキン独特の歌いまわしは優しいんだけれども強烈で、どの曲も自分のスタイルにしてしまっているように思う。ボブ・ディランの "Mr. Tambourine Man" がこんなにも柔らかに響くとは! ちょっとジャズ的でもあるかな。
低いキーの歌だと、ドノヴァンを思わせるところも。
とにかく一曲目、"Cotton Candy Sandman" を初めて聴いたときは衝撃だった。歌い出しを数秒聴いただけで、完全にやられてしまった。浮遊感を漂わせた、というより浮世離れしたような声。何これ?
曲自体は先にハーパーズ・ビザールのカバーで知っていたのだけれど、全然違う。曖昧な言い方だけど、ハーパーズのヴァージョンは僕にとって心でもって把握できるものだった。けれど、ケニー・ランキン自身のものには触れることすらできない、そんな感じを受けたのだ。アコギと美麗なオーケストレーションの組み合わせも抜群。
この曲はわずか2分足らずで終わり、メドレーのようにしてフレッド・ニールのカバー "The Dolphins" に続くのだけれど、そこでも音の海のなかを自在に泳ぐ歌声、という感じであります。最高。
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