2010-06-04

Tot Taylor and His Orchestra / Playtime

エライことにトット・テイラーの紙ジャケCDが二枚リリースされたのであるよ。
近年、彼のアルバムは軒並み廃盤状態が久しく続いていて、かつて我が国ではポップの天才と持て囃されたりしていたことが嘘のように、すっかり忘れ去られた存在となっていました。何でもかんでもリイシューされる今のご時勢ですら再評価番外地なのであろうか、それも彼らしいかな、何て思っていたわけではありますが。

だいたいがトットの音楽というのはエレポだったりオーケストラをバックにしたものだったりで、リズミックな感覚には乏しいのだ。曲の一部分を切り出しても乗れるグルーヴやフレーズ、みたいなものがないと、なかなか最近のリスナーには受けにくいのでは、という気がするのだが果たしてううん、需要あるのだろうかね。
僕にとっては昔、結構嵌まっていたミュージシャンであり、今回再発されるタイトルも持ってるんだけど。もうこの先トットにお金を落とすことも無いだろうと、そう思って購入した次第であります。

久しぶりに聴いてみると、やっぱりいいな。特に「Playtime」(1981年発表)はファースト・ソロとあって、力がこもっている。曲数も多く、他のアルバムと比べると予算も掛けられているようだ。
アルバムの名義は "and His Orchestra" となっていますが、実際にはセカンド以降全開となるシンセを使った曲も多いですね。どちらにしても演奏の芯になっているのはドラム、ベース、鍵盤、ヴォーカルであって、つまりはコンテンポラリーなポップスの線からは外れたものではないのだけれど。
個人的には、小編成で演奏されるジャジーなポップソングのキレが、才気走った感もあり素晴らしいと思います。

トット・テイラーの音楽は親しみやすいポップスでありながら、随所にプライドがビンビンに響いているようなところが感じられて、昔はこれがスノビッシュと形容されていたのだな。

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