2020-07-05
Quarteto Forma / Quarteto Forma (eponymous title)
ブラジルの混声ボーカル・グループによる、単独名義のアルバムとしては唯一作、1970年リリース。どっちかというとコマーシャルなポップスよりは、ポピュラー・コーラス盤かな。臭みがなく、爽やか。
特徴的なのは柔らかな管楽器の処理ですね。スキャットやコーラスにユニゾンで管を重ねた響きがとてもいいです。
全編、とても丁寧に作られたアルバムですが、特に格好いいのがオープナーである "Forma"。フォー・ビートでオーケストラを従えた本格的ジャズコーラスで、演奏のダイナミズムと酒脱さのバランスが絶妙です。
一方、そのアレンジがヴァン・ダイク・パークスもかくや、と思わせられるのが "Água Clara"。繊細なアンサンブルがたまらなくドリーミー。ヴィブラフォンとフルートが効いております。
また、"E Nós... Aonde Vamos" はこのアルバム中では珍しくリズムがストレートなエイト・ビートで、そうなると俄然サンシャイン・ポップ的に聴こえるのが面白い。鍵盤、2管の響きが心地よいです。
アコースティック・ギターが軽快にドライヴする "Rapaz De Bem" は風通しよく、(わたしのイメージする)王道のブラジリアン・ポップスという感じ。柔らかな木管とスキャットの絡みが素晴らしい。
そして、ジャズスタンダード "All The Things You Are" は全編スキャットでアルバムの最後を美しく締めます。アルバムの最初と最後がジャズコーラスということになりますね。このあたり、グループの矜持の表れでしょうか。
美麗なサウンドにスキャット/コーラスが映えるとても楽しい一枚。
なお、CDリイシューでは翌1971年にリリースされたEPの曲が追加されておりまして、こちらはぐっとリズムが強調されたポップな仕上がりで、アルバムとは別な魅力があります。"Rua Cheia" などはハリウッド・ポップそのもの、といったサウンドですがかなり良い出来です。
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