2009-08-14

大森望/日下三蔵 編「超弦領域 ― 年刊日本SF傑作選」


2008年の国内SF短編アンソロジー、なんだけど。
最初に言っとくと、ぼくは今のSFにはすっかり疎くなってて。で、最新のSFってえのをちょっくら読んでみるか、と手を出したわけで。
そしたら、これってSF? ってのが結構混ざっていて。SF的なものの広がりを示した選択なのだろうけれど、綺譚といったほうが相応しいものもどんどん取り込んだ結果、ジャンル独自の色が薄まってしまったんじゃないか。最後の方に純SF作品を並べることで、落とし前はつけてあるけれど、一冊の本としてはバラエティが中途半端さにも繋がってるようであって、個人的には、面白いけど食い足りないという意見です。

気になった作品をばいくつか。

法月綸太郎「ノックス・マシン」 ・・・ ミステリの世界では良く知られる「ノックスの十戒」を扱った、タイムトリップものホラ数学SF。ネタ一発、といえばそうなんだけど、バカバカしくも楽しい。法月は他ジャンルだと生き生きしてるなあ。

津原泰水「土の柱」 ・・・ どっから見てもSFではないんだけれど、もう、小説が抜群にうまいです。凝縮された文、とはこういうものをいうのだな、惚れぼれしました。早速この人の著書を3冊買って来ましたよ。

堀晃「笑う闇」 ・・・ ロボットと漫才をする、というお話。日常とテクノロジーの馴染ませ方が素晴らしい。単純に物語としてもよく、ベテラン作家らしい芸が堪能できました。こういうのがあると、ほっとしますね。

円城塔「ムーンシャイン」 ・・・ 稲垣足穂みたいなタイトルですが、ハード数学SF(らしい)。正直、この作品はちゃんとわかったわけではないです。イメージもしっかり受け取れた気はしませんし。ただ、設定やら語り口の楽しさでもって、わからないままでもどんどん読めてしまう。

伊藤計劃「From the Nothing, With Love.」 ・・・ あまりに現代的な007パロディ。アイディア・情報量の密度とそれを負担にさせない娯楽性の高さ。この作品だけレベルが違うな。重く骨太な力作。 

0 件のコメント:

コメントを投稿