ゼムのファーストアルバム、1965年リリース。
翌年のセカンド「Again」ではビートグループのスタイルに収まらず、後のヴァン・モリソンのソロ作品に繋がるような曲も聴けるのだが、ここではR&Bやブルーズをベースにしたいかにもなレパートリーをアグレッシヴにぶちかます。
収録曲ではやはりガレージ・クラシックとなる "Gloria" がひとつ抜けていて、何度聴いても盛り上がる。スリーコードに語りと叫びが乗っかっているようなものですが、ちょっとラテンが入ったようなリズムが効いているように思うな。
これに匹敵するのがオープナーである "Mystic Eyes" で。バンド一丸となった迫力あるグルーヴと、ジャムセッションのような熱気は格別であります。
また、バート・バーンズの制作したものも三曲入っていますが、ポップなテイストがこのアルバムの質実剛健な雰囲気のなかではミスマッチというか今聴くと若干古びた感じがしますね。このアルバム以前にバーンズが手がけたシングル曲 "Here Comes The Night" はとても好きなのだけれど。
この頃ヴァン・モリソンはまだ20歳くらいであったはずだが、既に堂々とした唄いっぷり。同時期のエリック・バードンと比較すると、重さはあっても決してくどくならない切れ味の良さが好ましい。
シンプルで余剰の少ない、シャープな表現はこの時代ならでは、でしょうか。迷いの無いロックンロール。
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