2019-05-02

The Californians & Friends / Early Morning Sun: 60s Harmony Pop Produced By Irving Martin


最近'60年代のニッチなポップスをリイシューしている豪Teensvilleから出た、これはちょっと凄いコンピレイション。ごく一部のひとにとっては待望のものではないでしょうか。
カリフォーニアンズというグループはその名に反してイギリスのグループで、ビーチ・ボーイズ的な西海岸ポップを標榜していたよう。この盤には彼らが1967~69年に出した全シングル16曲に加えて、プロデューサーのアーヴィング・マーティンが手掛けた他のミュージシャンの曲が14曲収録されております。
なお、音質の方はぼちぼち止まりですね。板起しが多そうなのは仕方がないとしても、音圧がちょっと高過ぎるかと。


さてカリフォーニアンズ、音楽のほうは後期アイヴィー・リーグやホワイト・プレインズ、あるいはハーモニー・グラスあたりも思わせる、いかにも英国産のハーモニー・ポップ。
楽曲は殆どがカヴァーです。スパンキー&アワ・ギャング、ハプニングス、カウシルズ等々、米国ものでは本家と比べると少し抜け切らず、ウェットな感じが残るのは英国製の常ですね。英国内のヒット曲ではフォーチュンズの "You've Got Your Trouble" やクリフ・リチャードの "Congratulations" なんてやっていますが、いずれもしっかりとしたプロダクションと気合の入ったコーラスが楽しく、お手軽に作られたものではありません。しかし、聴き物はむしろ非有名曲のほうですね。中でもセンスのいい管の使い方やサビ前のリッチなコーラスが素晴らしい "What Love Can Do"、A&Mレコードあたりを意識しているようなラウンジ風ボサノヴァ "The Sound" が特に気に入りました。
ともかく三年ほどの間、全く売れなかったのにもかかわらず、音楽性にさほどブレがないし、創作意欲が落ちていないのは大したものです。もっとも、アーヴィン・マーティンというプロデューサーはヒットシングルをひとつも作っていないようなのですが。


カリフォーニアンズ以外の収録曲もそこそこいいのが揃っております。ポール・クレイグの "Midnight Girl" はジョン・カーターの書いた佳曲だし、ファインダーズ・キーパーズの "Friday Kind Of Monday" はエリー・グリニッチの曲で、こちらもいい出来です。あと、女性シンガーがいたロイヤルティというグループのものが5曲あって、これも悪くない。ペパーミント・レインボウやロジャー・ニコルズ&SCOFの曲などほぼコピーに近いのだが、しっかりしたものだ。


全体に良質な英国産ポップスが楽しめる一枚であります。トニー・マコウリィやクック&グリーナウェイが関わっていたグループのファンなら気に入るのではないでしょうか。

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