2019-07-28

Billy Bremner / Bash!


ロックパイル第三の男、ギタリストのビリー・ブレムナーが1984年にリリースしたファースト・ソロ・アルバム。
内容はコンパクトで小気味良いパワーポップであるけれど、単純なギターコンボではなく、時代を反映したものかニューウェーヴを思わせるような鍵盤が目立ち、デジタルエコーも深い。そのためロックンロールとしての歯切れの良さはやや削がれているものの、耳当たりは決して悪くないサウンドで、コーラス・アレンジもあいまってジェフ・リン的なセンスを感じられる瞬間もある。
ブレムナーのボーカルは癖の無いキャラクターなので、生一本のギターロックにするよりも、こうした音の工夫でフックを作るのは正解なのかも。

収録曲はエルヴィス・コステロ作の "Shatterproof"、ディフォード&ティルブルック作で後にスクイーズのヴァージョンも発表された "When Love Goes To Sleep" の2曲以外は全て、ビリー・ブレムナーとプロデューサーのウィル・バーチの共作。それらオリジナルは'60年代ポップ的な展開のメロディが好ましく、だれるところもなしに通して機嫌よく聴いていられます。
コステロの曲は例によってメロディに対して言葉がやたらに詰まっているので、それと判りやすいな。また、"When Love Goes To Sleep" はスクイーズ版が未発表だったことを置いても、こちらのヴァージョンのほうがすっといいです。

難しい時代にすっきりとした落とし所をつけた好盤だと思います。ニック・ロウの「The Abominable Showman」やスクイーズの「Sweets From A Stranger」もこの程度に収まっていたらなあ、なんて考えたりもして。

0 件のコメント:

コメントを投稿