2019-09-01

The Sergio Mendes Trio Introducing Wanda De Sah With Rosinha De Valenca / Brasil '65


このところ、こればかり聴いていた。何が悲しゅうてセルメンを、と思わなくもない。凄く良く出来ているけれど、情緒に深く訴えられることはない、そこがいい。クールです。

セルジオ・メンデス率いるピアノ・トリオがシンガーとしてワンダ・サー、ギタリストにホジーナ・ジ・ヴァレンサ、フルートorサックスにバド・シャンクを迎えた1965年盤、キャピトルからのリリース。
取り上げられているのはブラジル産の有名曲ばかりですが、まあ、品がいいね。サックスが入った曲では、その瞬間に空気が変わってしまう、そう感じるくらい。

セルジオ・メンデス・トリオは全体の半数を占めるボーカル入りの曲においては歌伴と化して、でしゃばらない。冒頭の "So Nice" なんてまさにそう。また、"Berimbau" ではバックコーラスが欲しくなるほどだ。プロデューサーの意向があったのかもしれんけどね、アルバム・カバーでの写真の扱いもそういうことだし。
インストでも "Tristeza Em Mim" を聴くと主役はギターなのだが、ともかくセルメンたちの個性は歌なしの曲において発揮されているとは思う。特に、トリオ演奏による "Favela" ね。深い音色のベースのリフがかっちょよく、カラフルなピアノのフレーズも一層映える。それにしてもやり過ぎない、バランスを取った音楽ではあります。

後のブラジル'66と比較するとジャズですね、やっぱり。いや、どっちもいいのだけれど。
しかし、最後の "Reza" に関してはピアノ抜きで聴いてみたい。もはや歌とギターだけで充分成立してしまっているのではないか。

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