2022-09-17

Burt Bacharach / Casino Royale (50th Anniversary Edition)


スペインのQuartetというと古い映画の珍しいサウンドトラック盤リイシューで知られている会社ですが、ヨーロッパにあるサントラ専門のところの例に漏れず、カタログの殆どが枚数限定で、それに従うようにお値段も少し高めです。わたしのようなサントラ半可通が良さそうだな、でも高いなあ、なんて思っているうちに価格がどんどん上がっていく、もしくは入手不可にということはしばしばあります。
ただし、「Casino Royale」は色んなところから何度か出し直されてきたタイトルであり、Quartetにしては枚数を多めにプレスしたこともあってか、出されてから5年経った現在でもまだ普通に買えそうです。


「Casino Royale」のサントラを最初に再発したのはおそらく米Varese Sarabandeだと思う。わたしもそれで長いこと聴いていたのだが、これは音に歪みやドロップアウトがあって、あまり良いとはいえなかった。
さらに悪いことにVarese~では、そのデジタル・トランスファーの際にオリジナル・マスター・テープを損傷させてしまったらしい。そして、これより後年に他社から出たリイシューもこの傷物のマスターを使ってきました。

2012年になって、Quartetからこのアルバムの45周年2枚組CDが出ました。1枚目が映画で実際に使われたスコア(モノラル)を完全収録。2枚目がサントラ盤のリイシューで、このときはスペインで見つかったサブ・マスターが使用されました。
この盤も持っているのだけれど、コンプリート・スコアには疑似ステレオっぽいエコー処理がなされているのですね。肝心のサントラ盤のほうも分離がいまいち良くない感じがするし、ピーク部分になると音が潰れているようで、満足とまではいかなかった。


で、その五年後に再度Quartetから50周年盤として1枚ものが出たわけです(この時には権利者から2枚組にする許可が下りなかったそう)。オリジナル・サウンドトラックにフィルム・スコアからの抜粋、初CD化となるマイク・レッドウェイ "Have No Fear Bond Is Here" シングル・ヴァージョンで77分強まで詰め込まれています。
このリイシューの際には、良いソースを探し、吟味した結果、マスター・テープが損傷する以前に作られたデジタル・トランスファーのデータがあって、それが手に入るもので一番だったと。マスタリングは音圧控えめでダイナミック・レンジを尊重した丁寧な仕上がり。これなら安心して聴けます。
また、フィルム・スコアの方も、変な加工をせずナチュラルな響きのモノラルです。


バート・バカラックの音楽については今更、言うこともないか。最高。
ゴージャスで華やか、スケール感があっても決して重くならない、やっぱハリウッドってすげえなあ、と思ったら、これ、基本はロンドンでの制作なのですね。失礼だけれど、かの地にもえらい録音エンジニアがいたのね。あるいはフィル・ラモーンの力か。

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