2023-07-22

Neil Young / Harvest (50th Anniversary Edition)


近年のニール・ヤングは過去の音源を何しろ色々出していて。わたしはそれほどしつこくフォローはしていないのだけれど、'70年代のニール・ヤングにハズレはない、というのは間違いない。しかし、近い時期の弾き語りライヴがいくつもあって、それぞれの内容の区別があまりついていないのも本当のところだ。

で、昨年の暮れに出た「Harvest」(1972年)の拡大版なのですけれど。CD3枚+DVD2枚にハードカバーのブックレットという構成で、「After The Gold Rush」の50周年がボーナス2曲にとどまったのに比べると、手厚いつくりではありますが。正味の音源の量でいうとそうでもないか。


ディスク1は本編のストレート・リイシューだが、これは2009年のOfficial Release Seriesでのリマスターそのまま。ケースのスパインに「ORS 04」とあるのも同じ。
音楽そのものについてはいまさらなのですが、まあタイトにつくられていますね。ここでバックを務めるストレイ・ゲイターズが、ニール・ヤングが従えたバンド史上もっとも演奏のうまいメンバーかも。あまりに良すぎて長い期間は維持できなかったわけですが。

ディスク2は昔からお馴染みのBBCライヴ。しかし考えてみると、これ1971年の2月の録音なわけで。アルバムがリリースされる1年前に新曲をばんばん演っていたわけか。そりゃあ、観客もおとなしいわ。
そして、ディスク3はアルバム・アウトテイク3曲。内容はいいのですが少ないですなあ。BBCも30分ほどしかないわけだし、これだけ別にするのは、ううん。


で、DVDの方。「Harvest Time」という、全編が当時の映像からなるアルバム制作のドキュメンタリー、これこそがこのパッケージの目玉であります。
ストレイ・ゲイターズとのセッション風景が結構な尺で収められていて、ちょっと興奮。また、クロスビー・スティルズ&ナッシュらとのハーモニー・レコーディングも見応えがあります。
過去に見たことのある映像も混じっていますが、二時間たっぷりあるので問題はない。正直、冗長なところはあるのですが、よくぞあれもこれも入れてくれた、という感じです。


もうひとつのDVDはBBCライヴの映像版。これは10年かそこらくらい前に英国で再放送されていて、そのデジタルコピーで画質がいいやつも出回ったので、さほど感激はないですが、オフィシャルで出たということに意義はある。
しかし、このディスクの初期版は音声に不具合があって、でかいところが歪んでいるのだ。新たに製造したやつは音が直っているそうで、現在はオフィシャルで交換を受け付けています(わたしも手配中です*1)。

最初のほうで書いたように50周年記念盤として音源の量的にはちょっと物足りない。これを補うには2019年に出た「Tuscaloosa」も併せて聴くといいか。正真正銘、ケニー・バトリー入りストレイ・ゲイターズを率いた、1973年のライヴ盤ね。
ライヴであっても、めっちゃ安定している演奏はさすがであります。他ならぬアラバマの地で “Alabama” を演っているのも凄い。スタッフはひやひやしたかも。
あと、ニール・ヤングは「ジャック・ニッチー」と呼んでいる気がするな。



(追記)
*1: 到着しました。オフィシャルで手続きをしてから一週間後に発送通知があり、そこからエアメールでうちまで約十日と、まずまず悪くない対応ではないか。

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