近年は加齢及び長年の酷使のせいで聴力が衰えてきております。旧譜を新しいマスタリングで出し直されても、元となるマスターテープが同じだとそんなに大きな変化を感じない場合が多くなりました。これブラインド・テストだとわかんないかな、という。実際には波形が前のと一緒じゃん、という詐欺に近いような製品もあるのですが、それは置いといて。
まあ、リマスターに対して食指が動きにくくはなっているのですよ。
はっぴいえんどの新規盤なんですけどお。これも、もういいかな、お値段もするし。でも「風街ろまん」のマスターテープはオリジナル・アナログから最近までに使われていたものより世代がひとつ若いものになっているというじゃあーりませんか。
などと迷った末、結局三タイトルとも入手しました。とはいっても音質の向上を一番期待していたのは「風街~」ではなく1970年に出た一枚目、通称ゆでめん、なのです。
4トラックでのレコーディングのせいか、もしくは当時の我が国の録音技術の限界か、はっぴいえんどのファースト・アルバムは音が瘦せているという印象です。同時代のアメリカのバンドのようなサウンドを目指し、エンジニアにレコードを聴かせて、こんな風にしたいんだとミーティングを行ったはずが、できたのは日本的な湿り気というか抜けの悪さ、寒々しい音で、何がバッファロー・スプリングフィールドだよ、という。曲自体は凄く良いのにね。
次作の「風街ろまん」ではその問題が嘘のように解決されていることもあって、なんとかならないかしら、と思っていたのですよ。
初回限定盤のブックレットは資料として充実したもの |
で、新しいのを聴いてみたんですが。結論からいうと改善はされています。湿度を感じさせる音のキャラクターそのものはもちろん変わりませんが、ちゃんと迫力のある、バンドとしてのエネルギーが伝わってくるものになっています。
技術の進歩とはえらいものだな、と阿呆みたいな感想をもってしまいました。
「風街ろまん」はスマートなんだけれど、このデビュー盤のほうが濃いというか、引っかかる部分が多いのね。それで繰り返して聴いちゃう。
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