2026-08-30

Cal Tjader / Tjader


ヴァイブ奏者、カル・チェイダーは1971年に古巣であるFantasyレコードに復帰、ほぼ‘70年代いっぱいをそこで活動します。その時期の一枚目となるのが自身の姓を冠した「Tjader」というアルバムで、日本でのみCD化されています。

ジャケットに大写しの肖像はこのひとにしてはラフでカジュアルな印象。取り上げている曲はいわゆるポップソングが多いのだが、よく見ると‘60年代後半のものばかり。それらにはちょっとフラワーポップな雰囲気があって、ドノヴァンの "First There Is A Mountain" など実にのどか。この辺りが、海外ではリイシューの対象にならない原因かしら。
それでもアルバム後半ではピートとコーク・エスコヴェード兄弟がパーカッションに加わり、軽快な盛り上がりを作っています。チェイダーはこのアルバムの次に同じような座組で「Agua Dulce」という作品を出すのですが、そちらはもっとリズム強度が高く、ラテン味が濃いのです。この「Tjader」の終盤はその前哨戦という趣きです。

特にいいなと思ったのはチェイダー自身によるオリジナル曲ふたつ、"I Showed Them" と "Mambero"。メロウな導入から様相を変えてラテン・ジャズ・ファンクになだれ込む。
あと、バハ・マリンバ・バンドの "Fresh Air" がオリジナルから灰汁抜きしたような激ラウンジ仕様。美麗なスキャットは(チェイダーらが主宰していたSkyレコードからのリリースがある)ウェンディ&ボニーらしい。アルバム中でもやや異色なのだか、一曲だけ取り出して聴くならめちゃ良いと思う。