2010-03-05

エラリー・クイーン原案 飯城勇三編「ミステリの女王の冒険 ― 視聴者への挑戦」

「刑事コロンボ」のR・レヴィンソンとW・リンクのコンビが手掛けたテレビドラマ「エラリー・クイーン」、そのシナリオのうち未発表を含む5本を収録。
「エラリー・クイーン原案」とありますが、一作を除くとクイーン作品をそのまま元にしたものは無く、クイーンの作品世界を独自に再構築したものであって、読み物としてはパスティーシュとして受け取ればいいんじゃないかな。

もしかしたらクイーンの名前を利用した、お手軽な商売の本だったりしないかという不安はあったのですが、実際に読んでみるとこれは悪くないですね。面白かったです。
キャラクターがテレビ向けにアレンジされているようなところがありますが、ミステリとしてはかなりしっかりした仕上がり。手掛かりの出し方や謎解きの作法などがいかにもクイーンらしくて、作家陣は相当にクイーン作品を研究していたのではないでしょうか。
また、シナリオ後半には毎回「読者への挑戦」ならぬ「視聴者への挑戦」があるのも嬉しいところ。
放送された全エピソードについての解説もついており、労作です。

エラリー・クイーン本人の作品ではありませんが、個人的には後期クイーンの代作長編のうちの出来の落ちる作品よりも楽しめるんじゃ、と思います。以前出たラジオドラマ集が気に入った人なら、是非。

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