フィラデルフィアで活動するトランペット奏者が、1978年にプライヴェート・レーベルから出した(今のところ)唯一のリーダー作。1975年と'77年のセッションを半々に収めたもので、内容はというと、これがクールながらとてもメロウなジャズファンク。
何といっても、アナログA面に当たる前半三曲が穏やかにして強烈で。
柔らかにうねるリズムに、甘く煌くエレピとそれに溶け合うようなギターの響き。そうした音の層の上で歌うトランペットは抑制されたエモーションを感じさせるもので、まるで血液が通っているようだ。
特に二曲目に置かれた "Once You Fall in Love" が素晴らしいグルーヴ、メロディ、質感でずっと浸っていたくなるよ。生理的に気持ちいい。
また、各楽器を真ん中寄りに定位させたミックスも、サウンド全体をひとつの塊として提示することを意図しているように思えます。
アルバム後半は、前半と比べるとややスクエアな乗りで、開放的な印象も受けます。管のアンサンブルが聴けるこちらも落ち着いたムードで悪くない。
ボーナストラックの一曲はラテン風かな、躍動感のある仕上がりでちょっと異色。
制作された時代的にはフュージョンに流れそうですが、そうならなかった節度が嬉しいです。
真夜中に聴くのが相応しい一枚なり。
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