デル・シャノンの英国レコーディング音源、制作は1967年。プロデューサーとしてはアンドルー・ルーグ・オールダムがクレジットされており、アレンジはアーサー・グリーンスレイド、演奏にはスタジオミュージシャンに加え、イミディエイト・レーベルの人脈が多く参加しているようです。
内容はアンドルーの趣味のウォール・オブ・サウンドに、フォークロックとバロックポップの混交、といった感じ。しかし、英国のスタジオで英国のミュージャンによって作られた音であるにも拘わらず、デル・シャノンのボーカルが乗っかるとアメリカンポップに聞こえる不思議。どういうことだろう? と考えながら何度も繰り返し聴いてしまった。シンガーとしての格なのか、湿り気のない明快な唄声がバックのいかにも英国らしい陰りを帯びたトラックを支配しているよう。
曲によってはサウンドと唄にミスマッチな感を覚えるものもあるのだけれど、結果的にはそのことによってちょっとした掴みどころの無さと独特の奥行きが出ているようでもある。
楽曲はビリー・ニコルズやトゥワイス・アズ・マッチらによるものと、デル・シャノン本人が書いたものが混在しているのだけれど、メランコリックな佳曲が多いですね。
唯一、これは浮いているんじゃないかと思ったのが "Runaway '67"。かつてのヒット曲をテンポを落としゴージャスなオケを使って再演したもので、アンドルーのスペクター・コンプレックスが悪いほうに出たかな。
当時のイミディエイトの音が好きな人なら、聴いて損はない一枚ではないかと。
0 件のコメント:
コメントを投稿