1968年リリース、オーティス・レディングの死後に出されたものとしては二枚目のアルバムです。
喉の手術を経た後のオーティスの声は以前のような張りや艶がなくなり、時にかすれるところがありますが、それでも抜群の唄のうまさは充分伝わってきます。少し枯れたような味もまた、ひとつの魅力になっていると思うのはひいきの引き倒しかしら。
いや、実際にスロウの曲はどれも好ましいのです。かつての極端に抑揚をつけた歌唱から、もっと丁寧かつ、染み入るようなもの変化しているよう。特にオープナーの "I've Got Dreams To Remember" が穏やかながら表情豊かで、何度聴いてもたまらない。
また、ミディアムではファンキーなものが多くなっているのだけれど、ド迫力だけではない、軽味をも獲得したことによる表現の幅が出てきているように思うし、"Hard To Handle" なんかではルーファス・トーマスにも通じるようなコミカルなニュアンスさえ感じられます。
改めてこのアルバムを聴き直してみると、キャリアの初期においては圧倒的なスケールを持つボーカルが音楽の質そのものを決定付けていたのに対して、より楽曲やアレンジを尊重したものになってきていたのかな、という気がしました。
味わい深く、いいアルバムですよ。
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