2016-06-14

The Kinks / Everybody's In Show-Biz


「Everybody's In Show-Biz」(1972年)のレガシー・エディションが出ました。ディスク1はオリジナルを2in1で収録、ディスク2は未発表のものなどで固められています。
キンクスのRCA~Arista時代のカタログはVelvelから出たSACDハイブリッド盤で揃えていたのですが、「Everybody's In Show-Biz」についてはボーナストラックが入った代わりに本編が微妙に削られてしまっていました。
そういうこともあって、待望のリイシューです。

といっても正直、この作品にはどうも中途半端という印象があるのです。
アナログ1枚目に当たるスタジオ録音は後の演劇的なものへの過渡期といった感じ。収録曲では "Sitting In My Hotel" と "Celluloid Heroes" のふたつのスロウが抜きん出ていい。また、管楽器の使い方など意外にカラフルなところが見られるし、カントリーやR&Bに加えて "Supersonic Rocket Ship” のカリプソ風味などバラエティには富んでいる。"Hot Potatoes" やデイヴ作の " You Don't Know My Name" はロニー・レイン&スリム・チャンスのような味わいがある。その一方で、わかりやすいポップソングが見当たらず、全体としてとらえるとやや地味なのは否めない。
さらに、2枚目のライヴがいまひとつなのだな。編集にはぶつ切りのところが多く、雰囲気が持続しないようで、あまり気持ちよくない。ライヴ盤というより、既存曲を新たなアレンジで聴かせて、当時のキンクスの方向性をはっきり示すという趣旨だったのもしれないが。


今回のディスク2には13曲のライヴと未発表トラック4曲が収録されています。
ライヴのほうはオリジナルに収録されたものの前日の演奏なのですが、今まで抱えていた不満がかなり解消された思いです。ミックスは分離よく聴きやすいし、曲間のつなぎも自然で、ひとつのショウとしての流れを楽しめるものになっていますよ。
一方、スタジオ録音の中では未発表曲の「History」がなかなかの佳曲で、あまりいじりまわしていないアレンジもいい塩梅でありますね。

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