人類補完機構全短編、その第二巻です。
第一巻である
『スキャナーに生きがいはない』には15編が収録されていたのに対し、こちらは7編とやや長めのものが多いかな。今回、初訳となる作品はありません。
ただし、『スキャナー~』には初期の習作やスミスの死後に夫人が完成させたものもあったのに対して、こちらは1961~66年に発表された短編で固められていて、その密度の高さはただごとではありません。ひとつとして落ちるものは無い、と思います。
中では「クラウン・タウンの貴婦人」が、一番分量が多くて読み応えがあります。古典的な物語の枠組みを利用しながら、臆面もないドラマを盛り上げていく。とても残酷であり、そして強い感情的な高まりを呼び起こす作品だ。
また、「ショイヨルという名の星」では『スキャナー~』に収録されていた「スズダル中佐の犯罪と栄光」のスズタルが再登場。作品内の時代では「スズタル中佐の~」のほうが3000年ほど先行しているようだけれど、実際に発表されたのはこの「ショイヨル~」のほうが先なのだな。
この作品集での年代としては長編『ノーストリリア』のそれをまたいでいるので、久しぶりに『ノーストリリア』も読み返そうかな。
さて、最終巻にあたる『三惑星の探求』はいつ出るかわからないけれど、これまで未訳であったものも収録されるので、気長に待ちたいですな。
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