2016-08-13

Grapefruit / Yesterday's Sunshine: The Complete 1967-1968 London Sessions


既発表・未発表のマテリアルが混在していて、いまひとつ趣旨がわかりにくいコンピレイション盤ですが、グレイプフルートがアップルと出版契約していた時期の音源集です。昨年、新たにマスターテープが発見されたそうで、未発表曲や別テイクがいくつかに、既発曲でもマルチトラックからミックスし直されたものが多く収録されていて、既出そのまんまのもの(それらも当然、リマスターされていますが)はそれほど入っていません。

グレイプフルートのデビュー・シングルはテリー・メルチャーによって手掛けられ、それより後のシングル制作はグループ自身でのプロデュースで行われていました。それらシングル曲や(その時点での)未リリース曲はファースト・アルバムである「Around Grapefruit」としてまとめられるのですが、その際にメルチャーはリミックスやオーバーダブを施しています。
また、"Lullaby" という曲ではもともとレノン&マッカートニーがプロデューサーを務めていましたが、「Around~」に採用されたのはそのヴァージョンではなく、後にグループのみで再録したものを元にメルチャーが手を加えたものでありました。
今回のコンピレイションでは "Lullaby" はレノン&マッカートニー制作版、それ以外はデビュー・シングルを除いて全てグレイプフルートがセルフ・プロデュースしたかたちのものが収録されているよう。

記者会見にはブライアン・ジョーンズ、ドノヴァン、リンゴ、ジョン、シラ・ブラック、ポールが参加

マスターテープの保存が良かったのでしょう、全体に音質は良好です(一曲だけアセテート起こしのものがありますが、それもちゃんと聴ける音になっています)。特に新規リミックスされたものがクリアで生々しい仕上がり。「Around Grapefruit」収録のものと比べるとストリングスが無くなったりしていることもあって、サイケポップ的な雰囲気は希薄になりましたが、ビートグループらしい迫力が強まった感があります。
また、未発表曲を取っても明らかに落ちるというものは無く、ジョージ・アレクサンダーの作曲センスの確かさが伺える出来です。

そうそう、ライナーノーツ記載のコメントによればフォー・シーズンズのカバー "C'mon Marianne" でのホーンは、ジョン・レノンのアイディアであるリフを元にマイク・ハグがアレンジをしたものだそうですよ。

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