2016-11-03

Teddy Randazzo / The Girl From U.N.C.L.E.


「The Girl From U.N.C.L.E.」というのは米国の人気TVドラマ「The Man From U.N.C.L.E.」のスピン・オフで、1967~8年に放映されていたそう。音楽はデイヴ・グルーシンが手掛けました。また、番組のオープニングではジェリー・ゴールドスミスによる「The Man From U.N.C.L.E.」のテーマを、新たにグルーシンがアレンジしたものが使われていました。
しかし、両ドラマとも'60年代当時にサウンドトラック盤は発売されなかったのだな。そこで、番組の人気に目を付けたのか、劇中で使われた曲を別なひとが新たに録音したレコードが制作されました。ヒューゴ・モンテネグロは「The Man From U.N.C.L.E.」からの音楽で2枚のアルバムを出しています(さらにモンテネグロは後に映画「The Good, the Bad and the Ugly」のメインテーマをカヴァーして、大ヒットさせています。商売としても馬鹿にならないたぐいのものであったのだな)。

んで、「The Girl From U.N.C.L.E.」なんですが、こちらはテディ・ランダーゾがアレンジ/指揮をしたアルバムです。しかし、このアルバムをVarèse Sarabandeが再発した際にジャケットからランダーゾの名前を消して、代わりにグルーシンとゴールドスミスの名前を入れてしまったのだからややこしい。TV番組のサウンドトラックのような誤解を招くし、第一、実際にレコードを制作した人物の名前がない、というのもおかしな話であります。

まあ、それはともかく。このアルバムはテディ・ランダーゾ版ビッグ・バンド・ジャズという趣で、都会的かつドラマティックなアレンジが楽しめるもの。収録曲にはランダーゾのオリジナルも2曲まぎれこませてあります。
特に、要所で使われている女声スキャットが効果的ですね。中でも、タイトルになっている " The Girl From U.N.C.L.E." は軽やかな響きのボサノヴァで、これが一番の聴き物。

あと、このアルバムにも " The Man From U.N.C.L.E." が入っていて。迫力たっぷりの演奏の中で木琴をスタックス・ソウル風のリズムで使うなど、考えられています。しかし、スパイ・アクション的な軽快さやスピード感、もっとはっきりいえば元々のものにあった美点がまるで失われてしまっているようではあるかな。ちょっとやり過ぎた、というね。

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