セントルイス出身のビートルズ・フォロワー、エアロヴォンズが英パーロフォンに残した録音集。2003年、RPMからのリリース。
これら曲の制作は1969年にアビイ・ロード・スタジオで行われ、エンジニアにはアラン・パーソンズが、いくつかのトラックではジェフ・エメリックが就いています。プロデュースは当初ノーマン・スミスが担当していたのですが、その仕事ぶりが気に入らなくてクビに、以降はグループの中心人物である、当時17歳のトム・ハートマンが自分でやることになりました。
全体のサウンドはジェントルな英国サイケポップという印象のものですが、くっきりとしたベースラインやコンプレッサーで潰したようなドラムがいかにもビートルズ純正。トム・ハートマンのボーカルはポールとジョージの間を行ったりきたりする感じで、特にダブルトラックでのハモりはポールそっくりに聴こえます。
曲によってはラトルズかよ、と思うくらいにビートルズに似せたものがありまして、それらはさすがにやりすぎ。しかし、ビージーズやグレイプフルートを思わせる曲など、総じて、丁寧に作られたメロディのものが多いかと。ただ、'69年にはもうこの音楽ではなかったろうな、という気はします。
突出した個性には乏しいですが、ビートルズ云々を意識しなくても楽しめる、達者に作られたポップソング集です。
中でも、"She's Not Dead" という曲がエミット・ローズのデビュー盤に共通する、パワーポップへと突き抜けかけているような魅力があって、いいですね。
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