2018-09-30

Milton Wright / Complete Friends And Buddies


ミルトン・ライトのアルバム「Friends And Buddies」(1975年)、そのごく少数出回ったというファースト・プレスと、内容に手を入れたセカンド・プレスをまとめたうえにボーナス・トラックもつけた完全盤。

ふたつのヴァージョンの違いだが、セカンド・プレスではシンセがオーヴァーダブされて、ミックス・バランスもかなり変わっている。また、最初のには間に合わなかった "Keep It Up" という曲が差し換えで入っている。
個人的にはファースト・プレスのほうが断然好みで。サウンドが生々しくってずっと現代的。メロウネスとエネルギーのバランスが素晴らしい。一方、セカンド・プレスはシンセによるスペイシーな感触が加わっている。悪くはないけれど、やはり時代の音という印象がする。"Keep It Up" はいかにもマイアミ・ソウルらしいけだるさと湿度を感じさせるメロウなミディアムだが、ややディスコ入ってるかな。

収録曲はどれも弛みなく作られているのだけれど、特にタイトル曲の冒頭で聴ける女性コーラスの豊かな響きが、もうなんともたまらない。ミルトンのマニッシュな歌声との対比も実に格好良い。
また、キャッチーなミディアム "My Ol' Lady" はアイズリー・ブラザーズを思わせて、これもまろやかなグルーヴが心地いい。
セカンド・プレスからは漏れたのが "Nobody Can Touch You"。アコースティックでビル・ウィザーズ風といえるか。これにはシンセは入れ難そうだし、そのままだと流れから浮いてしまうから外されたか。

ミルトン・ライトの歌唱はスティーヴィー・ワンダーの影響が伺えるラフなものだけれど、朗々と歌い上げる局面もあって、あまりソウルっぽくない。ゆったりとした地中海岸的なリズムアレンジの曲なんかでは、その歌唱もあいまってジョン・ルシアンを想起したりもする。

個々のパーツだけを取り上げるとそんなに個性はないのだけれど、その纏め上がりがオリジナルというね。グレイトな盤です。

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