2010-11-21

Paul Williams / Someday Man


ポール・ウィリアムズのファースト(1970年リリース)が英国Now Soundsからのリイシュー、ボーナストラック12曲付き。
このアルバムは日本盤CDも持っているんだけれど、今回のは音の鮮度が段違いですぜ。ボーナス曲にはマルチトラックから新たにミックスされたものが含まれているので、アルバム本編もちゃんとオリジナルのマスターから起したのだろうな。各パートがくっきり。
また、ブックレットにはポールとロジャー・ニコルズのコメントを織り交ぜたライナーが読ませますが、詳細なパーソネルがちゃんと記されているのも高ポイントであります。リイシューはこうでなくちゃ。

オープニングのタイトル曲、"Someday Man" がやはり、頭ひとつ抜けた出来。弾むベースと手数多いドラムに導かれウキウキとした気分にさせられる歌い出しから、サビではリズムがシャッフルになり、控えめながら効果的な管弦も入ってきて、ここで早くもお腹一杯なのに更に美味しい転調が待っている、という。何度聴いても楽しいな。
他の曲も水準はクリアしているものばかりであって、どこを切っても良いメロディが。特にミディアム以上のテンポの曲 "Mornin' I'll Be Movin' On" "Trust" "Roan Pony" あたりが、ポールのヴォーカルもあっさり目で好みですね。
アルバム全体に、ベーシックな曲の良さを生かす方向での過剰にならず、けれどツボを抑えた装飾が光ります。ここら辺はアレンジャーのペリー・ボトキンJr.ら、あるいはプロデューサーを務めたロジャーのセンスでしょうか。

ボーナストラックではモノ・シングル・ヴァージョンやデモも嬉しいですが、"Someday Man" と "The Drifter" のバッキング・トラック・セッションが驚き。
特に "The Drifter" はポールのアルバムには入らなかった曲ですが、ここで聴ける演奏はロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズのものと同アレンジであって。"The Drifter" が元々ポールのアルバム用に録られていた、と考えることもできなくはないですが、この曲のキーはポールには高すぎるように思うのだな(ロジャーとポールのデモ集「We've Only Just Begun」に収録された同曲でのポールのヴォーカルは、テープスピードの操作でピッチを上げたものに聴こえる)。ポールのこのアルバムとスモール・サークル・オブ・フレンズのシングルは、同時に制作がなされていたのではないかと推測されるのだけれど、どうかしらね。

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