2010-11-14

Dyke & The Blazers / We Got More Soul


ジェイムズ・ブラウンと同時代に、その影響を強く受けながらも独自のファンキーソウルを確立したダイク&ザ・ブレイザーズ。彼らの全音源を未発表も含めて網羅した二枚組アンソロジーです。副題に「The Ultimate Broadway Funk」とあるように、殆どファンキー以外の曲調のものを残していないのが凄い。
いかにも長尺のセッションから編集しました、という感じの曲が多いのですが、このCDではもともとパート1、2に分かれていたものはつなげて編集してあるのが嬉しいです。

ディスク1は "Phoenix" と題され、1966、67年に地元アリゾナで制作された楽曲を収録。
彼らの演奏はJBと比べるともっと無骨で大きな乗りです。ホーンやオルガンが緩い感じを出していて、更にダイクのボーカルは少し泣きが入っていて、いなたい雰囲気であります。ベースはダイク自身が弾いていたようなのですが、これも太い音で、いい。
ウィルソン・ピケットのカバーがヒットした "Funky Broadway" が入っておりますが、その他の曲でもアレンジに南部ソウルっぽいセンスも感じられるものが。
また、スローブルースもひとつ演ってるのだけど、それも若干跳ね気味のリズムで料理している徹底ぶりが気持ちいい。

ディスク2は "Hollywood"、1968~70年の録音。名義はブレイザーズのままなものの、実際はハリウッドのスタジオミュージシャンによるもので、ジェイムズ・ギャドスンらワッツ103rdストリート・リズム・バンドのメンバーが参加しています。そのせいか、一枚目とは演奏の雰囲気がガラリと変わり、シャープでソリッド、重量感あるものに。楽器のフレーズは細かくなり、曲構成もそれまでのリフ一発を押し通すものとは違い、変化をつけたものになっています。
そうした洗練されたサウンドをバックにすると、ダイクの若干クサ目のボーカルが対照的に映えて、また格好いい。
中でも、「話しているときでもソウルが溢れてくる 歩いているだけでソウルが溢れ出すんだ」と始まり、サビではレイ・チャールズ、JB、ジョニー・テイラー、アレサ・フランクリン等の名前が歌い込まれる "We Got More Soul" が決まっています。

演奏のキレだけを取ればハリウッド録音なのですが、ローカル録音での温かみあるサウンドや、どこかユーモラスで余裕を感じさせる歌いまわしも捨てがたいな。

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