2012-05-13

George Harrison / Early Takes Volume 1


ジョージ・ハリスンのレアトラック集でありますが。昨年発表されたドキュメンタリー映画からのスピンオフのような扱いのせいか、収録曲の制作時期や演奏パーソネルなどのデータが一切記されていないのが残念。時間もトータル30分と今時のものとしては短く、ちょっと物足りないかな。

1.My Sweet Lord
ドラム、ベース、アコースティックギターによるシンプルな演奏。リリースされたものよりテンポ早めで、完成にはまだ足りないという印象。アレンジが重要な曲なのだな。
2.Run Of The Mill
一方のこちらはギター一本によるデモであるけれど、ほぼイメージが固まっているという感じ。
3.I'd Have You Anytime
穏やかなバンドサウンド。完成形に近いのだけれど、生々しさが良い。ここまで三曲は「All Things Must Pass」収録曲。
4.Mama You've Been On My Mind
トゥイッケナム・セッションでも演っていたボブ・ディランのカバーで、唄い方もそっくり。小さく入ったリズムボックスにアコースティックギターと、スライド。ひとりでやってるハモりが密やかな感じで、気に入りました。
5.Let It Be Me
エヴァリー・ブラザーズのカバー。これも(たぶん)ひとりでハモっているのだけれど、やけに泣きの入った仕上がり。
この曲は1988年にラジオショウに出演したときに、ジェフ・リンとのデュエットで演奏しています。声の枯れた感じからして、これと一つ前の "Mama~" はそれくらいの頃の録音かな?
6. Woman Don't You Cry for Me
アルバム「Thirty Three & 1/3」に、ファンクアレンジで収録されることになる曲でありますが、ここではフォークブルース風の仕上がり。これも「All Things Must Pass」期の演奏でしょうか。
7.Awaiting On You All
骨太でシンプルなバンドサウンドは、正規ヴァージョンでの厚塗りのものとは違った魅力があって、これはこれで良いです。ここからの三曲も「All Things~」収録曲。
8.Behind That Locked Door
アコースティックギターとペダルスティールのみのデモだけれど、ほぼ完成形がイメージできる。
9.All Things Must Pass
一曲目の "My Sweet Lord" 同様、ドラム、ベース、アコースティックギターでのシンプルな演奏ですが、ジョージの頼りないボーカルが凄くしみるなあ。
10.The Light That Has Lighted The World
切々とした弾き語り。「Living In The Material World」収録ヴァージョンでは随分センチメンタルな仕上がりでしたが、こちらのあっさりした方が好きだな。

ジョージのアルバムにはときに、バックのサウンドにボーカルが負けていたり、あるいはサウンドそのものが古びて感じられるようなものがあるのだけれど、これは全編控えめな演奏のためかそんなことがなく、パーソナリティがしっかり伝わってくる。バンドでの演奏と一人で作ったようなものが混在していますが、違和感無く収まっていて。

単にレアトラック集というだけでない、現代に聴けるジョージ・ハリスンの音楽として構成されていると思います。しみじみと楽しめる、これこそが「ジョージの魂」。

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