2012-08-05

Cal Tjader / Soul Burst


1966年、ヴァーヴからのリリース。プロデュースはクリード・テイラー、録音にルディ・ヴァン・ゲルダーとお馴染みのチーム。

軽快なラテンリズムと流麗なメロディが良い塩梅で、クリード・テイラーらしく耳当りは良いがユニークなアルバムになっています。勿論ヴァイブが主役なのですが、フルートが大きく絡むことで、メロウさが強調されているのではないかな。
ピアノを弾いているのがチック・コリアなのだけれど、パーカッシブとさえいえるアタックを感じさせる演奏はラテン色の補強に一役買っているよう。特に、短い曲だけれど "Descarga Cubana" では同じリフが延々繰り返されているのをバックに、彼の一人舞台といったところです。
なお、タイトルに反してアルバムのどこを取ってもソウル色は皆無。「Soul」と銘打てばちょっとは売れ行きが良くなるのでは、という思惑でもあったのかと。

アルバム全10曲中、ラテンパーカッションだけでなくドラマーも参加しているものが4曲あって。目立たないプレイに終始しているのだけれど、昭和歌謡っぽい哀愁メロディの "Cuchy Frito Man" とディジー・ギレスピーのクラシック "Manteca" は、それでもリズムが強調されたごきげんなミディアムに仕上がっています。特に "Manteca" は、コンパクトにまとまった曲が多いこの盤にあって比較的に尺が長く、グルーヴに乗ってどんどんと演奏が続いていくさまが気持ちいい。

また、クルト・ワイル作のものが2曲取り上げられていますが、ともに穏やかなスロウ。うち、"My Ship" はラテンというよりボサノヴァですね、もう。ここら辺、クリード・テイラーの入れ知恵なのかな?

乗りがいいのが聴きたいけど暑苦しいのは嫌だ、というワガママな要求に答えてくれる一枚ですな。

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