2012-10-19

Donovan / The Hurdy Gurdy Man


1968年リリース。ドノヴァンがミッキー・モストと組んだアルバムの中ではこれが一番好きかな。
すっきりとして風通しがいいんですよ。これ以前にはまだ、陰鬱なフォークソング、ごてごてした管弦を背負った弾き語り曲なんかが幅を利かせていたのだけれど。このアルバムはなんか吹っ切れているようで、ドラムの入った曲の比率がだいぶ多くなっていますし、色々とポップな味付けはされていても整理がいいというか、それまでと比較して少ない工夫で大きな効果が上がっているという感じで。

冒頭に置かれた "Hurdy Gurdy Man" なんか、メロディだけ取ると展開に乏しい鼻歌みたいなもんですが、この曲にヒット性がある、と考えたミッキー・モストは偉かったんだ。エッジを効かせたバンドサウンドやタンブーラ、エコー処理でもってポップソングになっているのだから、本当、プロダクションの勝利ですよねえ。
もう一つのシングル "Jennifer Juniper" も童謡のような曲に、柔らかで控えめな管弦がちょうどいい塩梅です。
その他には、ジャジーなものやカリビアン風メロディ、もろインドかぶれの曲などあってヴァラエティにも欠きませんが、全体に軽やかな仕上がりが好ましい。
そして、アルバム終盤には穏やかで優しいアコースティックな手触りのものが並んでいて、流れも良いですね。
アルバム「Sunshine Superman」だけ聴いて、なんか古臭いなあ、眠くなってくるなあ、なんて思ったひとには試していただきたいな、と。

あと、現行CDのボーナストラックの中には「Greatest Hits」(1969年)のために再録された "Colours" と "Catch The Wind" も入っているのだけれど、これらも素晴らしく、当時のドノヴァン&モスト組の充実ぶりが伝わってきます。特に "Colours" は小船に揺られながら川を下っているような雰囲気がとても良くって、ニック・ドレイクを思わせるところもありますね。

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