リヴァプール出身のオルガンR&Bコンボ、リモ・フォー唯一のアルバム。オリジナルは1967年、ドイツのStar-Clubからのリリース。
レコーディングは一日にも足らない時間のうちに、スタジオライヴに近い状態で行なわれたそう。取り上げているのは普段演奏していたカバー曲ばかりとあって咀嚼も充分で、ジャズインストと唄物のR&Bが混在しているのだけれど、その感触に違和感が無い。ステージの熱と迫力がうまく持ち込まれたようなタイトで太いサウンドが気持ち良い。
ジャズやソウルを若い聴き手向けに消化した音楽は当時の英国には数あれど、ブライアン・オーガーやズート・マニー、あるいはペドラーズらと比較するとリモ・フォーのリズム感覚はずっとビートグループ然としたものだ。これは彼らの活動の中心がハンブルグにあったということが大きいのではないかしら。かの地ではロンドンあたりのクラブに集う流行に敏感でヒップな客相手とはまた違う、もっとダイレクトで性急な表現が受けていたと想像されるのだが如何か。
そしてこれより20年後に、ビートグループ的なセンスによるオルガンR&Bというコンセプトを再現したのが最初期のジェイムズ・テイラー・クァルテットだと個人的には思っているのだが、それはまた別の話ということで。
ルーツへの愛情を感じさせながらも黒すぎず、かといってプレイヤーとしての主張が出過ぎることもない、その距離感がとてもスマートで格好いい。ガッツとプライドを感じさせる、まさしくスタイリストたちによる一枚。
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