1974年、ボブ・ディランがザ・バンドと組んで作った作品。それまではスタジオ・ミュージシャンとレコーディングすることの多かったディランが、初めてツアーバンドとだけで制作したアルバムでもあります(まあ、ツアー自体これ以前は長いことやってなかったのだが)。
ザ・バンドとディランの相性は良い、というか良すぎ。ディランがグループの一員のようですらある。
ときにそれが行き過ぎて、曲によっては演奏の個性にディランが負けているように感じる瞬間も。当たり前だが、サウンドのカラーがザ・バンド寄りなのだ。"Tough Mama" という曲なんて実に格好いいロックンロールに仕上がっているのだが、これなどはザ・バンドのスタイルにディランが乗っかっているだけ、と言えなくもない。
昔の僕は、ディランはバックと対等じゃあだめだ、演奏を従えた存在でないと、などと考えていて、あまりこのアルバムは好きではなかったのだが。最近は、いや、これも有りだな、と思うようになってきた。
ザ・バンドとの相性が尊重されたのか楽曲はわかりやすいものが並んでいて。リラックスしたボーカルも相まって、謎めいたところのあるディランというひとの素に近い面というか、感情が比較的ストレートに出ているような気がする。
何よりディランの悪い癖である、やたら長いのに変化に乏しくて退屈な曲が無いのがいいですわ。
ディランらしさ、とか深く考えなければ、凄く気持ちよく聴けるな。純粋に音楽として楽しい一枚。
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