2013-07-14

King Floyd / King Floyd (eponymous title)


ニュー・オーリンズのシンガーによるマラコ録音アルバム、1971年リリース。
全体としてはマイルドなミディアムと粘るようなファンクの二本立て、というところ。
中でもシングルヒットした "Groove Me" はレイドバックしたファンキーソウルで、これは流石にひとつ抜けた出来。ゆったりとしたグルーヴを従えて、ラフながら甘さを滲ませたボーカルが映えています。極端に手数の少ないベースによって、ちょっとレゲエっぽいニュアンスも生まれているし、サビで畳み掛けるところではぐっと南部っぽい演奏になっていて、曲に締まりが出ていると思う。

キング・フロイドの歌声はハスキーなテナーで、サザンソウルらしさを感じさせることもあるけれど、ソウルシンガーとしてはやや線が細く、ときに中性的なところも。
ただ、アレンジャーのワーデル・ケザーグが、その軽量級のボーカルを生かすような音つくりをしているので、聴いていて物足りなく感じることはないです。また、収録されている多くの曲がフロイドの自作という強みがあって、題材との相性も良いのだな。特に、リズムナンバーではシャープな唄い回しがうまく嵌っています。

懐の深さを感じさせる演奏に特異な個性がうまくかみ合った、いいアルバムだと思います。
個人的には、ダブル・キーボードでメロウに仕上げたミディアム "Let Us Be" が気に入りましたよ。

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