催眠術の実演中、意識の無い被験者を道具にした殺人が起こった。だが、おもちゃであった凶器を本物と摩り替えることは誰にも出きなかっはず。この不可能状況に対して、自伝を口述中のヘンリ・メリヴェール卿が立ち上がった。
相当に難度の高そうな事件である一方、怪奇色は無いのでお話はすっきり、すらすらと読み進めてしまえる。誰にも犯行が不可能だったように見えるのなら、誰が犯人であっても不思議は無い。つまりはどうやって犯罪を実行できたのか? の一点勝負。
ミステリらしい雰囲気は充分な上にコミック・リリーフも冴え、いやあ面白いよ。終盤までは。
真相は大胆かつ衝撃的なものでありますが。
不可能トリックはアレだし、伏線も弱い。
また、もうひとつ、大きな錯誤を仕掛けているのだけれど、うーむ。
大抵の読者は当該箇所にひっかかりを覚えつつも、読み進めるうちにそのことを忘れてしまうでしょう。
しかし、この犯人の末路はなかなかに凄いな。
そもそも、どこまでが本気でどこからが冗談なのかが分かりにくいのですが、まあ、ファンなら愉快に読める豪快な作品です。
なお麻耶雄嵩の解説はネタを割った上でのもので、ミスリードの作法など実作者らしい視点が面白かった。
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