2016-03-06

Emitt Rhodes / Rainbow Ends


エミット・ローズ、43年ぶり四枚目になる新作。これまでと同じように自宅ガレージを改造したスタジオで制作されたそう。ただし、ワンマン・レコーディングではなく、バンドとしての形態によるものだ。
ロジャー・マニングやジェイソン・フォークナーといった、いわば「わかっている」ひとたちが全面的に参加しているということで、聴く前からそう大きな外れかたはしていないとは思っていた。

実際に聴いてみると、過去の作品と比べても仕方がないとは思うが、まあ、随分と落ち着いたものにはなっている。これをパワーポップと形容するのはやや無理があるだろう。清涼感をたたえていた歌声は、苦味を漂わせる深みのあるものへと変わった。サウンドからは軽快さが失われ、全体にメランコリックな雰囲気のものとなっている。
また、いくつかの曲ではカラフルなアレンジが施されているけれど、ミキシングにおいてあまり目立ち過ぎないように配慮されているように思う。


キャラクターが別なものになってしまったようで、あらかじめ知らなければこれがエミット・ローズの音楽だとは思わないだろうが、展開やブリッジの作り方には名残が感じられるし、どの曲も2、3分台で終わってしまう(未だに!)。
曲のテーマとしては悲しみや喪失を扱ったものが多いようなのだけど、音楽そのものは希望を感じさせるものだ。60代半ばの男がもつナイーヴさが痛々しくも美しい。

表面的な派手さは無くとも、フックのある良いメロディ揃いであって。
繰り返し聴くほどに染み入ってくる、そんなアルバムです。

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