町の有力者の葬儀はごく限られた人たちだけで行われた。そして、その参列者のひとりが半年後になって、奇妙な状況で感電死する。さらに現場近くでは幽霊の目撃談もあがっていた。捜査に乗り出したパーブライト警部だが、事件の関係者たちは皆、何かを隠し、あるいは恐れているようであった……。
1958年、コリン・ワトスンのデビュー作です。
事件はとても不可思議なものなのに語り口は落ち着いたもので、現実的というか、この辺りがいかにも英国産らしい。ちょっと皮肉っぽいユーモアは毒というほどのものではなく、海外ドラマなんかでありそうな軽口で。また、展開のテンポはいいし雰囲気も明るい。
謎解き役であるバーブライト警部はあまり感情を表に出さない、落ち着いたキャラクターです。それでも物語後半に至ると真相を掴んだようで、それを読者には伏せたまま裏づけ捜査に奔走する場面では緊張感が高まっていきます。
メインのアイディアは古典的なものですが大胆な使い方であり、この器にこれを盛るのか、という感じの意外性を感じました。
手掛かりが少ないし、それも出てくるが結構な後半だったりするのでパズラーとはいえないかもしれません。けれど、奇妙な伏線の数々が実に楽しいですね。
前情報があまりなかったため大して期待していなかったけれど、これは面白かった。
個人的にはロラックより買いますね。秋に出るという三作目も読もうかと。
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