2017-03-18
Nino & April / All Strung Out
兄妹デュオ、ニノ・テンポ&エイプリル・スティーヴンズが1966年にWhite Whaleよりリリースしたアルバム。
何と言っても注目なのは、まるっきりフィル・スペクターのタイトル曲 " All Strung Out" と "The Habit Of Lovin' You Baby" のふたつ。
ニノ・テンポはセッション・ミュージシャンをしながら、その一方でエイプリル・スティーヴンズと自身のポップ・レコードを作り続けていたわけですが、裏方としてフィル・スペクターとのつながりはスペクターがニューヨークでリーバー&ストーラーのアシスタントをしていたころからと古いものがあり、L.A.に移ってからもフィレスのレコーディング・セッションに参加していました。いってみれば内部からそのサウンド制作を見てきたわけです。
さらに、"All Strung Out" と "The Habit Of~" の両曲に共同プロデューサーとしてクレジットされているのが、この後にパレードとして活動するジェリー・リオペル。彼もまたフィレスのスタッフでありました。その気になって、同じスタジオ、同じミュージシャンたちを使えば、そりゃあ同じサウンドは再現できるか。
特に "All Strung Out" のほうは元々ライチャス・ブラザーズのために書いた曲で、それがボツにされたので自分でやることにしたらしい。もっともライチャス・ブラザーズとはシンガーとしてのキャラクターがまるっきり違うので、仕上がりからは若干あっさりした印象を受けます。
また、"The Habit Of Lovin' You Baby" はロネッツが歌いそうな曲で、こちらも良い出来です。
それら以外の曲でとりわけ洒落ているのが、オープナーであるデヴッド・ゲイツ作の "You'll Be Needing Me Baby"。転調を効果的に使ったこの曲はレターメンのカバーなのだけれど、オリジナルと比較してぐっと若々しい仕上がり。ごくシンプルにコードを刻んでいる鍵盤の響きがとても印象的です。
また、"Follow Me" は展開そのものにフックがある、ボイス&ハート的なロックンロール。ボーカルのせいかソニー&シェールに似た感じを受けました。
その他にはフォークロック調の曲も多いのですが、エコー処理がサウンドに潤いを与えているようで、ちょっとメロウな感触がいいですね。
ニノ・テンポ、エイプリル・スティーヴンズとも特に歌がうまいわけではないのですが、それを感じさせない音作りはさすがですな。
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