2017-03-06

Brent Cash / The New High


5年以上のインターヴァルを挟んでの新作。

基本的には下世話さの無い、流麗なポップソング集ですが、今までの作品と比べるとわかりやすい'60年代的な意匠は影をひそめ、落ち着いた感じというか、よりパーソナルかつ現代的な印象を受けるものになっています。ボーカルが妙に生々しい曲もあって、そういうものではうっすら宅録感も感じました。
また、今作ではベースギターも自分で演奏していて、そのせいか曲によってはえらいブリブリいわしてますね。

アコースティック・ギターを中心に据えた "Dim Light" はちょっとシンガーソングライター風だし、室内楽+モダン・ポップという趣の "The Way You Were" などもこれまでに無かったテイスト。また、"I'm Looking Up" で聴けるバック・コーラスや、鍵盤をバックに歌われる "The Dusk Song" はもろルイ・フィリップのよう。
もちろん、メロディの良さは今作でも健在。思わず口ずさみたくなる、フックの効いたフレーズがそこかしこに散りばめられていて。ここがしっかりしているから、多少のサウンドの変化があっても、安心して聴いていられます。

特に気に入ったのは "The Wrong Thing" という曲。人懐っこい雰囲気のサウンドに甘い歌声もあいまって、スタックリッジのジェイムズ・ウォーレンをも想起させます。

もう少し商売っ気があっても、とは思わなくもないのですが。
自分の声質をうまく生かせるサウンドを獲得できたのではないかな。

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