2017-12-19

Pugwash / Silverlake


パグウォッシュの二年ぶりになる新作。今月に入ってからはこの一枚だけをずっと聴いていました。
グループからはトーマス・ウォルシュ以外のメンバーは皆抜け、実質的にはトーマスのソロ・プロジェクトとなっています。また、今作のプロデューサー及び録音はジェイソン・フォークナーが担当していて、アコースティック・ギター以外の演奏の殆どもジェイソンがやっているそう。
しかし、先行リリースされ、オープナーでもある "The Perfect Summer" はアルバム中ではむしろ地味というか個性に乏しい出来であって。初めて聴いたときには、あまり芸が感じられないイントロに一瞬、買って失敗したかな、と思ったのだけれど。曲そのものはキラキラした素敵なギターポップで安心、安心。

アルバム全体としてはこれまでと比較してカジュアルでコンパクトになったかと。いかにもUKポップらしい匂いは薄れ、より開放的な印象を受けます。サウンドにおけるギターの比重が高くなり、ストリングスが使われているのはわずか一曲のみ。
バンドという形態に縛られなくなったせいかどうかはわかりませんが、手の込んだアレンジや構成が減り、メロディをしっかり聴かせるほうへ重心を移しているような。これまでになく歌心を響かせる "Better Than Nothing At All" などはロン・セクスミスのようだ(しかし、間奏になると'70年代のウイングスを思わせる展開で、一筋縄ではいかない)。


'60年代っぽい意匠は目立たなくなっているものの、 "Everyone Knows That You're Mine" で聴けるジャングリーな12弦ギターがもろバーズだったり(コーラスでは一転してぐっ、とメロウになるのだけれど)、"Such A Shame" では後期ビートルズ的なアレンジが顔を出したり。大体、いつもベースラインの動かし方がビートルズっぽいんだよなあ。
また、前述したように今作ではギターの活躍が目立つのですが、特にジェイソン・フォークナーの貢献と思えるのが "Why Do I" と "Easier Done Than Said"。前者におけるリズミックな複数のギターの絡みは中期XTCのようだし、"Easier~" でのドライで勢いのあるギターもこれまでのパグウォッシュにはなかったアメリカっぽいテイストです。

相変わらずカラフルで良いメロディ揃いのアルバムでありますが、もう以前とは違うものになった、という感もありますね。マニア受けは要らない、というか。

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