
このSalvo盤のボーナストラックにも当然「青い影 (A Whiter Shade Of Pale)」が収録されている。ブックレットを読むと、この曲についてプロデューサーのデニス・コーデル自身が当時のインタビューで、ゲイリー・ブルッカーのヴォーカルは「サイケデリックなパーシー・スレッジ」のように聴かせたかった、と言ってたらしい。してみると、元々「男が女を愛する時 (When A Man Loves A Woman)」との類似は意識されていたのだな。
「青い影」は我が国においては、「男が女を~」同様のロマンチックな曲だと思われているフシがあるのだが、実際には何だか気味の悪い歌詞が付いている。キース・リードの書く詩は難しすぎて、正確に意味が判ったためしはないのだが、それでも「青い影」の歌詞から受けるイメージは英国ゴシック小説の不気味さであって、普通のラヴソングであるとは思えないのだが。
ところで、従来のCDでは「青い影」の作者として、ゲイリー・ブルッカーとキース・リードの二人がクレジットされていたのだけれど、Salvo盤ではマシュー・フィッシャーの名前も入っている。数年越しの裁判の結果、昨年になってフィッシャーも作者としての権利がある、という判決が下りたのだな。フィッシャーによるイントロのオルガン(元はバッハだが)は曲を決定づけるものであって、印税もらってもいいかな、という気はするが、歌詞や唄メロを書いたわけではないので、自分の演奏パートをアレンジしただけだ、という見方もできる。この裁判が前例となってしまうと、ヘッドアレンジでも印象的なフレーズなら作曲となるわけで、何だかややこしいことではある。