キンクスのパイ・レコード在籍時のアンソロジー、予定より一月以上遅れて入手しました。
英国で最初に出回ったものにはマスタリングのミスで、ディスク3収録の "Two SIsters" 別ミックスに音飛びがあったそうなのだけど。チェックしてみたら、さすがにもう修正されていて、まずはひと安心。
パイ時代のアルバムに関してはここ数年のうちに、2タイトルを除いてデラックス・エディションとして出し直されている。しかし、今回のセットはさらなる新規リマスターで、音の感じはそう大きくは変わらないものの、やや高音が強めに仕上がっているように思う。
5枚組、140トラックのうち未発表とされているのが25曲(ディスク5にはひとつも入っていない)。聴いてみた感じ、別ミックスのうちいくつかは今回新規にマルチトラックから作られたもののようだ。
ただライナーノーツを読むと、当時のセッションテープは1970年代になってパイ・レコードによって廃棄されてしまっていて、そんなには残っていないらしい。
レアトラックを目当てにしていたら、ちょっと量的に物足りないかもしれない。けれど、この時期のキンクスの充実ぶりを一気に追体験していると、そんなことはあまり気にならなくなってしまう。
何人かのミュージシャンたちのコメントが記されているけれど、ピート・タウンゼンドが一番長い。 「Village Green Preservation Society」が俺の無人島レコードだ、なんて言ってます。 |
しかし、デビュー当時はすごく若々しいね。特にディスク1の頭10曲、ゆったりした曲調のものがひとつもなく、チンピラ臭いロックンロールが一気に畳み掛けてくる。ディスク2の半ばまで、長さが3分を越える曲がない、というのもまた気持ちがいい。
そして、ディスク4あたりを聴いていると、やっぱり「Village Green Preservation Society」も単体でリマスター盤を出して欲しくなるな。今回のセットでは「Something Else」収録曲はステレオミックスが採用されているのに、何故か次にリリースされた「Village Green~」からの曲はモノラルが殆どだ。はて?