2014-12-01
Bo Street Runners / Never Say Goodbye: The Complete Recordings 1964-1966
ロンドンのR&Bコンボ、ボー・ストリート・ランナーズのコンプリート盤が英RPMから出ました。ライナーノーツにはオフィシャルなものとしては初CD化だ、と書かれております。
コンプリート、といってもアルバムを残していないグループなので、そんなに分量はないのですが、今回は新たな発掘音源も2曲収録されていますよ。
最初に収められている4曲は1964年に自主制作されたEPから。演っているのはブルースのカバーなんだけど、唯一オリジナルの "Bo Street Runner" はボー・ディドリー調でこれが格好いい。スタイルとしては実にオーソドックスな英国R&Bなんですが、ライヴの勢いをそのまま持ち込んだであろう気合の入った演奏です。この時代にしてはカラフルな鍵盤も印象的。ボーカルは今聴くとちょっとロカビリーっぽいか。
彼らはTVショウ「Ready, Steady, Go!」のアマチュア・コンテストで勝ちあがり、デッカとのレコード契約を獲得すると、グリン・ジョンズの元でシングルを制作。"Bo Street Runner" をリズムを強調したアレンジで再録しています。流石にまとまりのいい仕上がりですが、個人的にはEPヴァージョンのほうが活きがいいように思うな。残念ながらこれが大して売れなかったため、デッカは契約をEMI傘下のコロンビアに売り渡してしまいます。
翌'65年になると、ミッキー・モストがプロデューサーに就いて次のシングルが制作されます。両面ともジェイムズ・ブラウンのカバーで、これ以前に比べて演奏が格段にシャープになっていますが、それ以上にボーカルがワイルドなものに変化。力強くてダンサブルな仕上がりです。実際のレコーディングではセッション・ミュージシャンが参加していて、バンドのメンバーたちは不満であったそうなのだが、何度聴いてみてもこの2曲が一番良いんだから仕方がない。
彼らはこの後に2枚のシングルを出していて、そこではキャッチーなメロディの曲を取り上げたり、ビートルズの "Drive My Car" を演ってみたりしています。悪くはないのですが、逆に個性が弱くなっているかなという気も。
また本盤には、バンド末期のシンガーであったマイク・パトゥが解散後に出したソロ・シングル曲もあって、(少なくともその片面で)バックを務めているのもボー・ストリート・ランナーズだそう。明るくポップなこれらはもう別物という感じなんだけれど、出来はいい。ちょっとジョージィ・フェイムっぽいところもあるかな。
そして、最後には「radio version」としてスタジオライヴらしき2曲が入っています。音質は良好、迫力も充分でこれには満足。
どう考えてもニッチな層に向けてのリイシューですが、デビュー当時のストーンズや、あるいはアートウッズのようなモッドR&Bなんて呼ばれているものが好きなひとにはいいんではないすかね。
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