レスリー・ゴア、7枚目にしてマーキュリーからでは最後となるアルバム、1967年リリース。英Aceによるリイシューで、ボーナストラック15曲入りです。
ボブ・クルーがアルバム全10曲中、7曲をプロデュース。うち、タイトル曲を除く全てで作曲にもかかわっています。残りの3曲はそれ以前にクインシー・ジョーンズによって制作されたもので、そちらのアレンジはジャック・ニーチェ。
きらきらした鉄琴の使い方などは以前のアレンジャー、クラウス・オガーマンの仕事を踏まえている感じですが、1967年ともなるとそれまでの元気いっぱいのポップソングとは違い、ややソフトで洗練されたサウンドのものが多くなっているかな。
あたまひとつ抜けた出来なのは、やはりシングルヒットしたタイトル曲 "California Nights" で。すごく適当にいうとスプリームス・ミーツ・ブライアン・ウィルソン。哀愁を漂わせたメロディと繊細なアレンジがとてもいい具合です。
あと、"Treat Me Like A Lady" はこれぞボブ・クルーなアレンジで、特に管なんていかにも。フォー・シーズンズをティーンエイジャー向けガール・ポップにモデルチェンジした、といった印象も受けます。
その他、ワルツタイムの可愛らしい "Love Goes On Forever"、凝ったアレンジが楽しい "The Bubble Broke" なんかが聞き物ですね。
また、クインシー・ジョーンズが携わったもののなかでは、レスリーの友人でもあるキャロル・ベイヤーの書いた曲 "Off And Running" がキャッチーなビート・グループ調の演奏であって、シンガーとしての多彩さも感じさせてくれる仕上がりです。
レスリー・ゴアとその弟、母、プロデューサーのボブ・クルー |
ボーナストラックは1965年の2枚のアルバムからのものと、同年に録音されて当時は未発表であった曲で占められています。中ではテディ・ランダーゾが作曲・アレンジした "Let Me Dream" が麗しくて、好みですね。
あと、実は「California Nights」のアルバムの後にもボブ・クルーの制作でシングルが一枚リリースされているのですが、それはここには入っておらず、以前に同じAceより出た「Magic Colors」のほうで聴くことが出来ます。
さて、Aceからのリイシューではマーキュリー時代は最初の3枚のアルバムがまだ手付かずなんだけれど、どうなのかな、アルバム・リイシューのかたちでは出ないような気がするんだが。