2009-05-25

Inflight Entertainment


小西康陽の書いた「マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。」は明日発売なのかな。レディメイドのウェブサイトに連載されていたのを見ていて、随分とアダルトというか落ち着いた趣味だよなあ、という感じがして、正直、今の自分には参考にはならないか、とも思ったが。まあ、小西氏も50歳くらいになるので、プライヴェートで聴くものとしては年齢相応のセレクションなのだろうな。これが10年以上前に企画されていたならもっとキャッチーな、いかにもネタ満載、といったレコードが取り上げられていたのだろうか。

「Inflight Entertainment」は1996年に、ロンドンのDJであるカーミンスキー兄弟が編集したラウンジミュージックのコンピレーション。ブックレットにはスペシャルサンクスか何かだろう “Pizzicato Five” の名前も。

90年代半ばにレトロ=フューチャー、なんて視点でイージーリスニングやラウンジ、モンド系の音楽がちょっとしたブームになっていた頃(エレベーターミュージック、なんて呼び名もあったね)、当時は外資系のレコード屋に凄く勢いがあったのだけれど、店の結構目立つ位置でこの「Inflight ~」や「Sound Gallery」、「Re-Search」なんていうコンピ盤が幅を利かせていたのを思い出す。

で、この「Inflight ~」なのだけれど、久しぶりに聴いたんだが2009年の今も全然古くないです、さすが。勿論、そんなシリアスに聞き込んでいるわけではないですが、歌物とインストが混在しているのに、まったく違和感なしに気持ちよく流していられる。どことなくユーモラスな曲が多い、というのもいい。うっかりと、架空のヨーロッパの豊かさ、なんてものを夢想させられたりするほど。でもって、どの曲もリズムがはっきりしているのがDJ仕様、ということなのでしょうか。

コンピレーション盤を聴く、という行為には未知のミュージシャンとの出会いを求める、という側面もあるよね。気に入った曲があったら、その作者のものを他に色々と漁ってみるという。けれども、僕個人としてイージーリスニングの場合だと、そこまではいかないかな。ポール・モーリア単独のアルバムを聴いてみたいと思わないし。僕も50歳になったら、また趣味が変わってるかもしれないけれど(あるいは64歳になったら)。

そういえば、小西康陽によれば「レイ・コニフには100曲に1曲、いい曲がある」らしい。

凄い話だ。レアグルーヴの陰には膨大なハズレが存在する。まさしく修羅の道である。

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