2011-02-11

The Free Design / Kites Are Fun


フリー・デザインをもう一枚。こちらはファースト・アルバム、1967年リリース。
この時点で既に、基本的なスタイルがほぼ出来上がっているのは流石で、素人臭さは微塵もない。特に繊細でスリリングなアレンジはオリジナリティを感じさせる堂々としたものだ。
おそらくクリス・デドリックは若くして、ミュージシャン固有の作家性などというものにそれほど信を置かないひとではなかったか。積み重ねた音、その絡み合い方にこそ神が宿るのだ。

とはいっても、このアルバムからはまだ青さ・瑞々しさも聴き取ることができます。ボーカル/コーラスは凛として姿勢良く、背筋の伸びたものであり、そこここに漂うフォーク的な清新さも好ましい。
そして何より、優れたミュージシャンのデビュー作にのみに見られる、これから何か新しいものがはじまっていくような勢いが全体にみなぎっており、その表現は時に力強ささえ感じさせる。後に強調されていく小洒落た面よりも、ここではむしろスケール感の方が勝っている気がします。

初めてフリー・デザインを聴く人は、これが一番入り易いんじゃないでしょうか。
冒頭を飾るタイトル曲 "Kites Are Fun" はまさしく、名刺代わりに相応しい一曲。

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