2011-02-04

Free Design / Stars/Time/Bubbles/Love


不思議なのは、大してセールスがあったとは思えないこのグループが、1960年代後半から'70年代はじめにかけて7枚ものアルバムを出せた、ということ。
まぎれもないポップスでありながら、彼らの音楽は聴き手のほうを向いているような感じがあまりしないのだな。
なるほど、そのコーラスアレンジやハーモニーは大したものだけれど、反面、歌唱そのものはそれほど魅力的ではない。というか、声の印象が薄いです。
そして、意欲的なアレンジはだが、ときに危うく。特に他人の曲をカバーする際、アイディアを注ぎ込むあまり、結果として原曲の良さを損なってしまっていることもままある。
何より、下世話さが決定的に欠落しているのだ。彼らにとってポップソングはアート(技巧)であったのだろうか。

とはいえ、アルバムはどれも非常に洗練され、かつ丁寧につくられているのは間違いのないところ。
今の気分なら4枚目の「Stars/Time/Bubbles/Love」(1970年リリース)でしょうか。アレンジ面での遊びが曲の中にうまく溶けており、親しみ易くなった感じ。特に前半はリズミックなフレーズが多く、キャッチーといってもいい。けれど、一枚聴き終えたあとに残る印象はやはり、奇妙に淡白で。
決して大きな音楽ではない。けれど、音楽の楽しみはそれだけではないはず。

いや、「フリー・デザイン」という名のグループなのだ。聴き手の欲するそのものをトレースすることには興味は無かったのだろう。

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