1961年リリース、ジャッキー&ロイのコロンビア録音盤。ジャケットにも大きく「STEREO」の文字が掲げられているけれど、非常に分離のはっきりしたミックス。右チャンネルにロイ・クラールの、左にはジャッキー・ケインのボーカル、センターに演奏となっておりまして、ボーカルが完全に分かれていることから男女デュエットの妙が存分に楽しめるようになっています。
ユーモラスな掛け合いからはじまり、抜群のコントロールによるぴったり決まったユニゾン、変化してのハモりあり、さらには分かれてのスキャットなど相当テクニカルに思えるのだが、聴き手に緊張を強いず、実に楽しく聴いていられる。いやあ、これは大した芸ですよ。
歌の正確さ、発音の明瞭さが音楽の質に直結している好例でありますね。
また、ピアノトリオによる演奏も軽快で洒落ていて、心地いい。全体が快調なグルーヴで貫かれており、一気に聴かせられる。
ところで、間奏部分でよく耳を澄ませると、右チャンネルからうなり声がオフ気味で聞こえてくる。してみると、ボーカルと演奏は同録なのかな。ロイ・クラールの一度に行っている演奏が別々の方向から聞こえてくるのは、近代的なステレオレコーディングとは逆の感じを受けて、なんだか面白い。
ロマンチシズムの配合も適量な、大人のカップルについてのコンセプト・アルバムとしても聴ける一枚。
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