2011-03-21

John Valenti / Anything You Want


ジョン・ヴァレンティ、1976年リリースのファーストアルバム。
白いスティーヴィー・ワンダー、とはよく言ったもの。この人のヴォーカル、特にテンション高い歌唱がそっくりで、発声や唄いまわし、果てはフェイクや間投詞の入れ方など相当意識しているね(曲によっては、あまり似てないものもあるのだが)。

サウンドのほうでもクラヴィネットを使うなど聴いていて思わず顔が綻ぶところがありますが、全体的な印象は結構コンテンポラリーな西海岸ポップスというところ。当然、本家のような思わず神棚に上げて拝んでしまいそうな密室的な空気感も皆無で、まあ、それは親しみ易さ、ということでもあるのだけれど。

曲によってはちょっとシンガーソングライターっぽいテイストも感じられて、トッド・ラングレンやギルバート・オーサリヴァンを思わせる瞬間もあるかな。
とにかく、アルバム全体が前向きで元気な調子で統一されていて、気持ち良く流していられます(ただ、2曲のカバーではそれが合っておらず、裏目に出ているとは思う。多くのヴァージョンがある "Time After Time" やジャッキー・ウィルスンの "Higher And Higher" のカバーの中で、このアレンジを好んで聴くという人はそういないのでは。オリジナル曲の出来がいいだけに、惜しい気がする)。

まあ間違ってもプロパーなソウルファン向けでないのは確かですが、弛みなく良く出来たポップソウルのアルバムじゃないでしょうか。
個人的に気に入ったのは "I Wrote This Song For You" という鍵盤オリエンテッドな曲。瑞々しさや繊細なニュアンス滲むメロディは、日本人好みですな。

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