2011-09-19

倉阪鬼一郎「五色沼黄緑館藍紫館多重殺人」


「普通の人はバカミスなんて読まないんだよ。喜んでるのは一部の変態だけだ」

毎年一冊、講談社ノベルズから出る倉阪鬼一郎の館もの。
降りしきる雪によって外部から遮断された洋館。そこに招待された客の間に起こる連続殺人! この世の外から現れるという、伝説の怪物の仕業なのか?
なんて設定ですが、まあ、このシリーズ(?)を読んできた人間なら、そんなこと言われても真面目に期待はしてないですよね、もはや。はじめから脱力する準備はできてるよ、てな感じで取り掛かりました。

目次を見るとすぐにわかるので書いてしまうけれど、四つの殺人が起こります。そこまでが全体の半分で残り半分を謎解きが占める、というあまり他にはない配分なのですが、謎解きそのものよりも謎解きの質が章を追うにつれ変容していく様が読み所かな。

大詰めの仕掛けはまあ言ってみれば、いつもと同じなんだけれども、大昔のニューウェーヴSFを思わせるシーンもあり、様式を徹底することで遂には別のものへと突き抜けた、という印象です。すでにバカミスですらない、というか。
ミステリ的なカタルシスはとうに失われているのだけれど、かまわず走り続ける姿は美しい。

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